八日目の蝉の比較 4

あいちゃ

2016年03月11日 21:55




角田光代さん原作の傑作サスペンス小説、
 『 八日目の蝉 』 は、
テレビドラマ化と映画化の両方が、実現しています。
そのどちらも、完成度が極めて高く、
とても素晴らしい作品に仕上がっているのですが、
良すぎるせいなのか(^^;) 
ドラマ支持派と、映画支持派で、真っ向対決。
たがいに好みの作品が良いと主張し合って、譲りません。

お気持ちは分かりますが、論点がちょっと違うのでは?
とうことで、双方の作品を、まずは調べてみましょうと、
畏れながら、この文章を書かせていただいております。
ちなみに、あたしは、最初に映画から観た人間です。

前回までの記事で、映画版の素晴らしいところを
いろいろと書かせていただきました。
今回からは、ドラマ版の素晴らしさを追っかけてみます。

『八日目の蝉』 ドラマ版は、
2010年に、NHK総合で放送(45分の6回)されました。
主役の野々宮希和子は、 檀れいさんが演じています。
彼女は、宝塚歌劇団の出身で、退団後は女優に転身。
テレビドラマとしては、八日目の蝉が初主演だったそうです。
対する、秋山 恵理菜は、北乃きいさんが演じています。
でも、映画版が、恵理菜と希和子の二大主役だったのに対し、
ドラマ版では、主役はあくまでも希和子で、
恵理奈は準主役という配置で、進行していきます。
したがって、ドラマ版 『八日目の蝉』 のイメージは、
壇さん演じる野々宮希和子に依存度が大きくなっています。

さて、映画版に対して、ドラマ版が優位に立つことがあります。
それは、45分の6回放送という、膨大な時間です。
2時間半という時間に制限された映画版に比べて、
9時間を費やせるドラマ版は、ストーリー描写を丁寧に
かつ、効果的に進めることができます。
詳しくは、後で述べさせていただきます。

まずは、ドラマ版全6回放送のタイトルをご覧ください。
 第1回  逃亡  (8.2%)
 第2回  エンジェルの家  (6.2%)
 第3回  悲しき女たち (7.4%)
 第4回  恋  (8.4%)
 第5回  光の島  (7.2%)
 最終回 奇跡 (9.3%)
    ()内は、その回の視聴率です。

まだ、ドラマ版をご覧になられていない方もみえると思います。
八日目の蝉は、ドラマ版、映画版、ともに
DVD製品が市販されています。
ただ、映画版が1巻なのに対して、ドラマ版は3巻あります。
買うとなると、良作とはいえ、なかなか手が出ないですよね^^;
まずは、お近くにDVDのレンタル店があるのなら、
『日本のドラマ』 のコーナーを探してみてください。
ひょっとして、置いてあるかもしれませんよ。


では、映画版では省略されてしまったけど、
ドラマ版では描写されている場面を、確認してみましょう。

1.希和子が事件を起こすまでの、要因となる出来事の
描写が十分に取ってあり、視聴者に同情をさそっている。

2.誘拐時に、過失とはいえ、希和子は放火をしてしまう。
そのため、より追い込まれた彼女の悲愴感が伝わってくる。

3.エンジェルホームにたどり着く前に、
希和子はごみ屋敷に住む謎の女に出会う。

4.沢田久美(エステル)が、映画版より個性的な女性である。

5.エンジェルホームという組織が時間を掛けて
描写されていて、その中の人間ドラマが共感を呼ぶ。

6.小豆島で、篠原文治が登場する。(映画には出て来ない)
彼は、最終回で、ストーリー上重要な役割を演じる。

7.物語終盤のクライマックス、埠頭でのシーンが、
映画版は夜なのに対して、ドラマ版は朝である。
(この二つの違いは、それぞれに深い意味を持ちます)

8.大人になった恵理菜と希和子が、最後に出会う(?)。

9.ドラマ全般の要所要所で、
希和子が薫へ向けて語りかける独白が流れる。

まだまだありますが、このくらいにして、
次回の記事ではもう少し深くドラマ版に切り込みますね^^


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