八日目の蝉の比較 6

あいちゃ

2016年07月16日 23:20




名作ストーリー 『八日目の蝉』 の
映画版とドラマ版を比較する企画ですが、
ついに第6回を迎え、
ここにめでたく、完結をいたしま~す。
(わーい、ぱちぱち^^)

てか、おめー、前回の記事から
3か月以上も経過してるじゃんかよー!

あれー。><)
お叱りのお言葉、ごもっともですが、
みなさん、プチ冷静に^^; 物は投げないでね。
では、ラストの記事、はじまり~

角田光代さん原作の 『八日目の蝉』 、
映画版とドラマ版で放映されていますが、
あまりの感動の深さに、映画派とドラマ派の間で、
自分たちの見た作品の方が良いとばかりに、
ネット上で大乱戦が展開されていたりして、
なんか、ちょっと論点が違うんじゃないと、
あたしなりに、意見を書かせていただいております。

『八日目の蝉』 のシナリオのすごさは、
忘れ去った過去の追憶ミステリー、
という、もっとも魅惑的なテーマをベースに、
最愛の人との悲しい別れを、
死以外の方法で表現したこと、だと思います。

主人公は(大人の)秋山恵理菜ですが、
たびたびここで書かせていただいたように、
脇役の野々宮希和子こそが、真の主人公です。
それを演じた二人の女優、
映画版の永作博美さんと、ドラマ版の壇れいさん。
この二人の演技があまりに素晴らし過ぎるが故に、
こっちの方がよりすばらしいよ、
と論争ネタにされてしまうみたいですね。

今日は、この二人が演じた野々宮希和子の
印象深いシーンをまとめてみます。

まずは、永作博美さんの希和子です。
序盤の迫力ある髪切りシーン、
エンジェルホームから逃げ出した夜のシーン、
薫と小学校の教室で仮想授業をしているシーン、
埠頭での薫との最後の別れのシーン、
などなど、
印象深い場面はたくさんありますが、
あたしがイチオシしたいシーンが、
……
タキ写真館で、薫と思い出の写真を撮るシーンです。

ドラマ版では、覚悟を決め切れていない希和子
が演じられていましたが、それに対して、
永作博美さんの希和子は、写真を撮る時に、
その後に起こるであろう悲しい出来事を、
すでに覚悟し切っている、
そんな設定で演じられていました。
このシーンについては、
ドラマ版よりも、ググッと来る迫力が、
映画版にはあります。
総じて、永作博美さんの希和子って、強い人ですね。

次に、壇れいさんの野々宮希和子のいいところです。
こちらの希和子は、本質的に弱い人間です。
弱いが故に、要所で決断がしきれずに、
思うように事がはこばないところに、
視聴者が共感してしまう、そういう魅力があります。
そんなドラマ版の壇れいさん演じる野々宮希和子の
あたしにとって一番印象的なシーンは、
……
埠頭で薫と別れるシーンです。

もちろんこの場面は、テレビ版でも映画版でも
最高に特別で重要なシーンなので、
ベタあたり前の感想なんですけども、
追い込まれて、うろたえる希和子――、
壇れいさんが演じてきた希和子が
もっとも象徴されたシーンのような気がします。

最後に、ドラマ版のいいところで追加したいのが、
要所で流される、希和子と恵理奈のの独白です。
特に、希和子の独白が、本当にいいですよね。
これがあるからこそ、感動がひとしお増幅されて、
視聴者の共感を生んでいると、あたしは思います。

長々とつづってきた『八日目の蝉』の感想でしたが、
映画版とドラマ版――、
どちらが優れているかという議論をするより、
ちょっとずつだけど、違う形で表現された
至高の感動物語を、二回も堪能できる。
しかも、同じシーンでも、別々の視点から、
別々の感動として、二度も楽しめる。
それって、とても素晴らしいことだと思いませんか?
それができるのは、双方の作品が
極めて優秀なものだからなんですよね。

最後に、数えきれない感動をいただき、
本当にありがとうございました~ ^^



テレビ番組