あいちゃ
2012年04月15日
21:58
今日は「
九階建てのマンション」のオチについて、
書かせていただきます。
尊敬するアメリカの短編作家スタンりイ・エリンは、
短い小説の最後の一文で読者をあっといわせるのが得意で、
最後の一文のために、序文のつかみからはじまり、
途中の文章で盛り上げるための伏線を散りばめて、
いつも最後の一文を劇的に演出しています。
あたしの目標も、最後の一文の盛り上げにあります。
「九階建てのマンション」を書くにあたり、
最後のオチからまず考えました。
読んでいただいた方にはお分かりでしょうが、
九階建てのマンションのオチは、二段立てになっております。
主人公の劉(りゅう)が事件を解決してから、
依頼人に報告に戻った場面で、最初のオチがあります。
当初のあたしの予定では、このオチの一本でこの小説を
書き終えるつもりでした。
ただ、それには難点がありました。
というのは、
この最初のオチは、
おそらく読者のほぼ全員が予想できるオチであるからです。
もちろん意外性には乏しくなってしまいますが、
あたしはそれでいいと思っていました。
たとえ読者のほぼ全員が予測できるオチであっても、
文章を魅力的に書くことができれば、面白いものになる。
そういう意味でチャレンジしていこうと思っていました。
実際に、途中で読者にオチがばれても、面白い小説は、
たとえば、スタンリイ・エリンの「特別料理」とか
シャーリー・ジャクスンの「くじ」とか、
身の毛もよだつようなすばらしい傑作があります。
(目標には、ちとでかすぎるが^^;)
書き始めてしばらくしてから、
あるアイディアが偶然にひらめきました。
それが、2番目のオチ、すなわち、最後の一文です。
最後まで読んでから、確認していただきたいのですが、
九階建てのマンションの最期の一文は、
それだけ見ても、何のオチにもなっていないわけです。
でも、全文を読んでいただければ、かなり
切れ味鋭いオチになっていると、自分では思っています。
だから、あたし的にはお気に入りのオチです^^
そして、その最後のオチのために、
サキには音楽学校の留学生になってもらいました。
第2のオチは切れ味は鋭いけど、複雑になる分だけ、
インパクト度が薄いかな? とも考えましたが、
最初のオチを卓越した文章力で盛り上げるよりも、
今のあたしには、上手く書けそうな気がしたので、
急きょオチを変更したというのが真相です(逃げた^^)
今回のように、書いている途中でプロットが
当初の予定から大きく変わるようなアイディアが
ひらめくことは、あたしにはよくあります。
(てか、予定の詰めが甘いのよね。あたしのばやい><)
たとえば、「
あざみ館の三姉妹」では、
山奥の不気味な洋館で、美人三姉妹が殺し合う……。
ってのが、当初のプロット。(なんじゃそれ^^;)
書いているうちに、次々とアイディアが浮かび、
(階段、遺言、肖像画、車いす、トリカブト、
開かずの間、塔、焼却場、などなど)
あたし的にはとても楽しんで書けた作品です。
それぞれの書き手のスタイルがあると思いますが、
迷ったらとりあえず書いてみよう!というのは、
ある意味で大切なことだと思いますよん^^。