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2016年07月16日

八日目の蝉の比較 6



名作ストーリー 『八日目の蝉』 の
映画版とドラマ版を比較する企画ですが、
ついに第6回を迎え、
ここにめでたく、完結をいたしま~す。
(わーい、ぱちぱち^^)

てか、おめー、前回の記事から
3か月以上も経過してるじゃんかよー!

あれー。><)
お叱りのお言葉、ごもっともですが、
みなさん、プチ冷静に^^; 物は投げないでね。
では、ラストの記事、はじまり~

角田光代さん原作の 『八日目の蝉』 、
映画版とドラマ版で放映されていますが、
あまりの感動の深さに、映画派とドラマ派の間で、
自分たちの見た作品の方が良いとばかりに、
ネット上で大乱戦が展開されていたりして、
なんか、ちょっと論点が違うんじゃないと、
あたしなりに、意見を書かせていただいております。

『八日目の蝉』 のシナリオのすごさは、
忘れ去った過去の追憶ミステリー、
という、もっとも魅惑的なテーマをベースに、
最愛の人との悲しい別れを、
死以外の方法で表現したこと、だと思います。

主人公は(大人の)秋山恵理菜ですが、
たびたびここで書かせていただいたように、
脇役の野々宮希和子こそが、真の主人公です。
それを演じた二人の女優、
映画版の永作博美さんと、ドラマ版の壇れいさん。
この二人の演技があまりに素晴らし過ぎるが故に、
こっちの方がよりすばらしいよ、
と論争ネタにされてしまうみたいですね。

今日は、この二人が演じた野々宮希和子の
印象深いシーンをまとめてみます。

まずは、永作博美さんの希和子です。
序盤の迫力ある髪切りシーン、
エンジェルホームから逃げ出した夜のシーン、
薫と小学校の教室で仮想授業をしているシーン、
埠頭での薫との最後の別れのシーン、
などなど、
印象深い場面はたくさんありますが、
あたしがイチオシしたいシーンが、
……
タキ写真館で、薫と思い出の写真を撮るシーンです。

ドラマ版では、覚悟を決め切れていない希和子
が演じられていましたが、それに対して、
永作博美さんの希和子は、写真を撮る時に、
その後に起こるであろう悲しい出来事を、
すでに覚悟し切っている、
そんな設定で演じられていました。
このシーンについては、
ドラマ版よりも、ググッと来る迫力が、
映画版にはあります。
総じて、永作博美さんの希和子って、強い人ですね。

次に、壇れいさんの野々宮希和子のいいところです。
こちらの希和子は、本質的に弱い人間です。
弱いが故に、要所で決断がしきれずに、
思うように事がはこばないところに、
視聴者が共感してしまう、そういう魅力があります。
そんなドラマ版の壇れいさん演じる野々宮希和子の
あたしにとって一番印象的なシーンは、
……
埠頭で薫と別れるシーンです。

もちろんこの場面は、テレビ版でも映画版でも
最高に特別で重要なシーンなので、
ベタあたり前の感想なんですけども、
追い込まれて、うろたえる希和子――、
壇れいさんが演じてきた希和子が
もっとも象徴されたシーンのような気がします。

最後に、ドラマ版のいいところで追加したいのが、
要所で流される、希和子と恵理奈のの独白です。
特に、希和子の独白が、本当にいいですよね。
これがあるからこそ、感動がひとしお増幅されて、
視聴者の共感を生んでいると、あたしは思います。

長々とつづってきた『八日目の蝉』の感想でしたが、
映画版とドラマ版――、
どちらが優れているかという議論をするより、
ちょっとずつだけど、違う形で表現された
至高の感動物語を、二回も堪能できる。
しかも、同じシーンでも、別々の視点から、
別々の感動として、二度も楽しめる。
それって、とても素晴らしいことだと思いませんか?
それができるのは、双方の作品が
極めて優秀なものだからなんですよね。

最後に、数えきれない感動をいただき、
本当にありがとうございました~ ^^



  


Posted by あいちゃ at 23:20Comments(0)テレビ番組

2016年04月03日

八日目の蝉の比較 5



名作、『八日目の蝉』、のドラマ版を調べてみる企画です。
ドラマ版が映画版に対して有利なことは、
なんといっても使用できる豊富な時間です。
ドラマ版は6回完結の形で放送されました。
つまり、毎回盛り上がる場面が演出できるわけです。
これはすごく大きいことです。

では、ドラマ版の1話から6話までの、それぞれの
盛り上がる場面をピックアップしていきましょう。
ただ、これからドラマ版を観てみよう、
と思っている人の邪魔にならないように、
細かな箇所はほのめかす形にして、
ネタバレにならないように、気を付けて、書いていきます。

まず、記念すべき(^^;)?、ドラマ版第1話(逃亡)ですが、
物語の背景描写に重点が置かれていて、
特に感動を視聴者に要求する場面は、ないように思います。
とはいっても、希和子の学生時代の同級生である
仁川 康枝とのやりとりなど、
ちょっとしたいいシーンも、さりげなく盛り込まれています。
そして、第1話のラストが、
大人になった秋山恵理菜(北乃きいさん)が、
父親の丈博に一言いい放って、番組が終わりますが、
このシーンがとても印象的ですね。
この後のスト-リーのバックボーンのテーマを
ほのめかす、大きな伏線となっています。

でも、ちょっと待ってください! よーく観ると、
とてもディープな伏線が第1話には貼ってありますよ!
げげっ、これ、ちょっと、すご過ぎ~^^
いきなり、来ちゃいました。
実はこの伏線、ドラマ版を第6話の最後まで観ないと、
伏線であることに気づかないほど、繊細なものなんです。
つまり、脚本家は、たとえほとんどの視聴者が
この伏線に気づかなくても仕方がないが、
もし、気づいてくれたなら、それだけで絶大な感動を
もたらすだろう、という奥の深い壮大な伏線です。
初めてドラマを観る人は、スルーしても大丈夫。
ほかにも感動は、このドラマにはいくらもありますからね。
でも、最後までドラマを観たよ、って人の中で、
第1話にそんな感動があったっけ? という方が
みえましたら、ちょっと注意して、
もう一度第1話を観直してみてください。
その伏線は、第1話の終盤、
大人になった恵理奈が、恋人の岸田と、
夜の観覧車の前でデートするシーンがありますが、
そこでの、恵理奈の独白の中にあります。
(ドラマを最後まで観た時に、初めて意味を持つ伏線です)

次に、第2話(エンジェルの家)。
いよいよ脚本家が繰り出す、涙をさそう攻撃が連発します。
まずは、ごみ屋敷での出会いと別れ。
そして、エンジェルホーム入会試験で語る女たちの本音。
『八日目の蝉』の素晴らしさが、ひしひしと伝わってきます。

第3話(悲しき女たち)。
エンジェルホームのような団体が現実にあったら、
まず私たちは反社会的な宗教団体であると、
ホームを認識してしまうことでしょう。
だからこそ、ドラマを観ていると、
ホームの内部の視点から見た世界観を突きつけられて、
とても考えさせられてしまいます。
教師役である怖いイメージのサライ(高畑 淳子さん)の
人間像が刻々と変化していくのが、見事です。
そして、エンジェルホームとの別れ。
時間に余裕のあるドラマ版ならではの細かい描写が
ここちよい感動を与えてくれますよ。
ホームから逃げる時、
タクシー運転手に希和子が告げた行先が『塩狩駅』。
でも、この駅って、北海道の秘境駅なんですけどね^^;

第4話(恋)。
映画版では出てこない、篠原文治(岸谷五郎さん)が
満を持して登場します。
岸谷さんが抜擢されているのだから、
きっと重要な登場人物であることが
なんとなく視聴者に伝わってきますが、
とにかく最初は、文治さんは、気味の悪いストーカー
みたいに描写されています。
実際は、シャイですごく真面目な人物です。
それも、きっと、脚本家の意図なんでしょうね。
そして、第4話最後の希和子の独白。
ドラマがクライマックスに向かうことを示唆しています。

第5話(光の島)
いよいよ第5話です。
ある意味、最終回(第6話)よりも
衝撃的で感動が大きいかもしれない回です。
沢田 久美(坂井真紀さん)が島を去るシーンとか、
その後の急展開するシナリオ。
なにも説明jはいらなくて、黙って観るのみですね。

第6話(奇跡)
場面は18年後となり、秋山恵理菜の独白から始まります。
目線が、これまでの希和子から、恵理菜の視点になります。
この展開も、余裕のあるドラマ版ならではという感じです。
恵理菜の実の母親である恵津子(板谷由夏さん)
という人物が、映画版よりもちょっとだけ
人間味があるように描かれています。
そして、映画版とは違うエンディング。 感動の嵐@@。。
映画とドラマ、どちらがいいとか比べるよりも、
双方を堪能できることが素晴らしいのではと思います。


  


Posted by あいちゃ at 22:32Comments(0)テレビ番組

2016年03月11日

八日目の蝉の比較 4



角田光代さん原作の傑作サスペンス小説、
 『 八日目の蝉 』 は、
テレビドラマ化と映画化の両方が、実現しています。
そのどちらも、完成度が極めて高く、
とても素晴らしい作品に仕上がっているのですが、
良すぎるせいなのか(^^;) 
ドラマ支持派と、映画支持派で、真っ向対決。
たがいに好みの作品が良いと主張し合って、譲りません。

お気持ちは分かりますが、論点がちょっと違うのでは?
とうことで、双方の作品を、まずは調べてみましょうと、
畏れながら、この文章を書かせていただいております。
ちなみに、あたしは、最初に映画から観た人間です。

前回までの記事で、映画版の素晴らしいところを
いろいろと書かせていただきました。
今回からは、ドラマ版の素晴らしさを追っかけてみます。

『八日目の蝉』 ドラマ版は、
2010年に、NHK総合で放送(45分の6回)されました。
主役の野々宮希和子は、 檀れいさんが演じています。
彼女は、宝塚歌劇団の出身で、退団後は女優に転身。
テレビドラマとしては、八日目の蝉が初主演だったそうです。
対する、秋山 恵理菜は、北乃きいさんが演じています。
でも、映画版が、恵理菜と希和子の二大主役だったのに対し、
ドラマ版では、主役はあくまでも希和子で、
恵理奈は準主役という配置で、進行していきます。
したがって、ドラマ版 『八日目の蝉』 のイメージは、
壇さん演じる野々宮希和子に依存度が大きくなっています。

さて、映画版に対して、ドラマ版が優位に立つことがあります。
それは、45分の6回放送という、膨大な時間です。
2時間半という時間に制限された映画版に比べて、
9時間を費やせるドラマ版は、ストーリー描写を丁寧に
かつ、効果的に進めることができます。
詳しくは、後で述べさせていただきます。

まずは、ドラマ版全6回放送のタイトルをご覧ください。
 第1回  逃亡  (8.2%)
 第2回  エンジェルの家  (6.2%)
 第3回  悲しき女たち (7.4%)
 第4回  恋  (8.4%)
 第5回  光の島  (7.2%)
 最終回 奇跡 (9.3%)
    ()内は、その回の視聴率です。

まだ、ドラマ版をご覧になられていない方もみえると思います。
八日目の蝉は、ドラマ版、映画版、ともに
DVD製品が市販されています。
ただ、映画版が1巻なのに対して、ドラマ版は3巻あります。
買うとなると、良作とはいえ、なかなか手が出ないですよね^^;
まずは、お近くにDVDのレンタル店があるのなら、
『日本のドラマ』 のコーナーを探してみてください。
ひょっとして、置いてあるかもしれませんよ。


では、映画版では省略されてしまったけど、
ドラマ版では描写されている場面を、確認してみましょう。

1.希和子が事件を起こすまでの、要因となる出来事の
描写が十分に取ってあり、視聴者に同情をさそっている。

2.誘拐時に、過失とはいえ、希和子は放火をしてしまう。
そのため、より追い込まれた彼女の悲愴感が伝わってくる。

3.エンジェルホームにたどり着く前に、
希和子はごみ屋敷に住む謎の女に出会う。

4.沢田久美(エステル)が、映画版より個性的な女性である。

5.エンジェルホームという組織が時間を掛けて
描写されていて、その中の人間ドラマが共感を呼ぶ。

6.小豆島で、篠原文治が登場する。(映画には出て来ない)
彼は、最終回で、ストーリー上重要な役割を演じる。

7.物語終盤のクライマックス、埠頭でのシーンが、
映画版は夜なのに対して、ドラマ版は朝である。
(この二つの違いは、それぞれに深い意味を持ちます)

8.大人になった恵理菜と希和子が、最後に出会う(?)。

9.ドラマ全般の要所要所で、
希和子が薫へ向けて語りかける独白が流れる。

まだまだありますが、このくらいにして、
次回の記事ではもう少し深くドラマ版に切り込みますね^^


  


Posted by あいちゃ at 21:55Comments(0)テレビ番組

2016年02月20日

八日目の蝉の比較 3



超感動的ストーリー 『八日目の蝉』 の、
映画版とドラマ版を比べてみよう企画の第3弾です。
今回は、「映画版」の特筆すべきポイントを
一気にまとめてみましょう。
あくまで、個人的な主観に基づく見解なので、あしからず。

1.映画版は風景映像が格段にきれい!
--------------------------------------------------
物語の後半は、小豆島に舞台が移り、
そこでの希和子と薫の日々の生活がつづられます。
『瀬戸内の、鏡のような穏やかで美しい海』。
『虫おくり祭りの、息を呑むほどにきれいで幻想的な夜景』。
もちろん、テレビドラマの映像もとてもすばらしいですけど、
映像の美しさだけで見たら、やっぱり映画に軍配かな^^

2.『お星さまの歌』 にしびれました。
--------------------------------------------------
秋山家に無事に保護された薫、こと、秋山恵理菜は、
実母である恵津子に、「お星さまの歌を歌って」、
と懇願しますが、恵津子が、キラキラ星など、
思いつく歌を懸命にあげていっても、
恵理菜は「その歌じゃない」と否定し続けて、
ついには恵津子を怒らせてしまいます。
さてさて、
恵理菜が知っていた『お星さまの歌』とはいったい?
これは、物語全体から見れば、ささいな副題に過ぎませんが、
それが判明した時には、なぜかぼろぼろ泣けてしまいます^^;

3.タキ写真館が、なんともいえずいいのよねえ@@。。
--------------------------------------------------
小豆島の中にある写真館が、物語の主題の伏線として、
八日目の蝉では、とても重要な役を担っています。
ドラマ版では写真館の名前は、「鈴木写真館」ですが、
映画版では、「タキ写真館」となっています。
そして、田中泯さん演じるタキ写真館の館長なんですが、
無表情、無愛想、何もしゃべらないし、暗くて不気味~^^;
だからこその感動が、、、あとは実際の映画をご覧ください。

4.そして希和子を演じる永作博美さんの圧倒的な存在感。
--------------------------------------------------
もちろん主役の井上真央さんがあっての映画版なのですが、
やっぱり永作博美さんが、どうにもこうにも、すごい!
ところで、ドラマ版で壇れいさんが演じる野々宮希和子と
永作博美さんが演じる野々宮希和子は、
人物像がちょっと違っているように、あたしは思います。
というのも、映画版の永作博美さん演じる希和子からは、
『内面に秘めた強い意思』、がひしひしと伝わってくるのです。
壇れいさん演じる希和子像は、後日語らせていただきますが、
それとは違った女性を、永作博美さんは見事に演じました。
先にドラマ版で成功をおさめた希和子像がある中で、
のしかかるプレッシャーは相当なものだったと思います。
どんなところにそれが現れているのでしょうか?
たとえば、物語の序盤に、身元を隠すために
希和子は自慢の長い髪をばっさりと切ってしまいます。
それを永作さんは地毛を切るという迫真の演技で演じました。
とても迫力あるシーンで、
永作希和子の強い意思が伝わってきます。

そして、ラストの埠頭のシーン……。
ドラマ版では、不意をつかれて
戸惑っている希和子の姿がありましたが、
映画版の希和子は、
これから起こることをはっきりと覚悟しているのです。
この相違は、さりげないけど、とても大きな違いだと、
あたしは思います。
(そして、どちらも異なる角度からの感動を与えてくれます)
全てを覚悟した者が選択した悲しい行動が、
観る人の胸を打つのです。
もう泣くしかありません><。。
写真館で撮った希和子と薫の記念写真は、
ドラマ版では、やさしく微笑む希和子の顔が写されています。
これも涙を誘うのですが、
映画版では、覚悟を決めた悲しみの中、
必死に微笑もうとしている希和子が、
見事に表現されています。
ここもすご過ぎです。
さらに映画版では、法廷での姿を最後に、
その後の希和子は、全くストーリーに登場しません。
悲し過ぎます@@。。
(原作者の角田光代さんは、
大人になった恵理菜と希和子の再会を
させるべきか悩んだ末に、
再会をさせないという結末を、
原作で選択されたようです。
ドラマ版も映画版も、
その選択を忠実に守っているということですね)

5.恵理菜が未来を決断するラストシーンが泣けます
--------------------------------------------------
過去をすっかり思い出した、
井上真央さん演じる大人になった恵理菜。
そこで恵理菜は、
今まで積もり積もった希和子への想いを一気に吐き出します。
恵理菜は希和子のことを、それまでは、
『世界で一番悪い女』、とか、
『野々宮希和子』、と呼び捨てにして、呼んでいました。
でも、最後の最後のシーンで、一回だけ、希和子のことを、
それまで口にしなかった別な呼び方で、呼びました。
そして、物語は終わり、エンディングテーマである
中島美嘉さんが歌う 『Dear』 が流されるわけですが、
この絶妙なコンビネーション。涙、ジュルジュル状態です。
すご過ぎです><。。
(このDearという曲、
亡くなった恋人を歌っている歌のようですが、
「あなたに名前を呼んで欲しくて、初めて声をあげ泣いたよ」
って歌詞が、登場人物が誰も死んでいない物語に、
どうしてこんなにピッタリとはまって、
切なく響くのでしょうか^^;)

さあ、こんなにすごい映画に対して、
ドラマはどう太刀打ちするのでしょう?
そして、観た人がそろって、映画よりもすごい、
と断言をさせてしまうドラマの魅力とは?
次回はNHKで放送されたドラマ版のいいところを
追っかけてみま~す^^


  


Posted by あいちゃ at 00:33Comments(0)テレビ番組

2016年02月12日

八日目の蝉の比較 2



テレビドラマと映画の両方とで公開された名作
『八日目の蝉』を堪能しましょう企画です。
今日はまず、映画版から調べてみましょう。

『悲しさで感動させる人間ドラマ』を創作しようとした時、
みなさんはどんなストーリーを考えますか?

今、主人公が手にしているほんのささやかな幸せが、
何らかの理由で、永遠に手放さなければならなくなる。
感動ドラマを構成するための基本となるシナリオです。

このシナリオを作る時、作者の最大の武器となるのが、
たとえば、『ある登場人物の死』 です。
愛する人が不治の病で永遠に別れなければならなくなる。
不治の病は、シナリオ上で、読者に向けて永遠の別れを
予測させることもできるから、その効果は絶大なんです。

でも、『八日目の蝉』のすごいところは、
登場人物を誰も死なせることなく、
主人公たちが手にしているささやかな幸せが、
やがて、永遠に手放さなければならなくなる。
さらに、それを読者が予測できる、というシナリオを
角田光代さんが新しく創り上げたことだと思います。
さてさて、それはいかなる手段なのか?
(まだ観ていない人は、ぜひ映画やドラマを観てくださいね)

ある意味、単純に人が死を迎えるストーリ-よりも
生きながら幸せを手放すことは、より残酷なのかもしれません。
いつ来るのか分からないその最後の日まで、
今を精一杯生きる。これが、この小説のテーマの一つです。

では、映画版を考えてみましょう。
ただ、あたしは小説を読んでいないので^^;、
脚本家のオリジナリティがどこあるのかを
正しくは知っていないと思います。
今回は、映画版とドラマ版を単純に比較してみるだけなので、
小説を読んだ人に、多少お叱りを受けることを
書いてしまうかもしれません。
それに関しては、最初にお断り申し上げさせていただきます。

映画版の最大の特徴は、当たり前といえばそれまでですが、
2時間半という限られた時間内で物語を完結していることです。
逆にいえば、たった2時間半でこの物語を堪能できる
わけですから、『八日目の蝉』を広めるのに最も貢献したのは、
映画だと思います。
あたしも、映画版がなければ、知らずに終わっていましたから。

しかし、その2時間半という制限は、
当然脚本家に厳しい選択を迫ることとなります。
(ちなみにドラマ版だと、9時間(6回)という時間が使えます)
そのため、映画版では、個々の出来事の間のつながりを、
省略せざるを得ず、じっくりと説明できなくなっています。
例を挙げると、
1.大人になった恵理菜が
なぜ岸田と関係を持つようになったのか。
(映画版の岸田を演じた劇団ひとりさんが、
気持ち悪いとよくコメントで叩かれていますが、
映画の中で、小池栄子さん演じる安藤千草が、
岸田のことを、一瞬ですが、「あのストーカーみたいな人」
と揶揄していることから、脚本家自身も、岸田を
ストーカー要素をそなえた人物として演出しようとしています。
劇団ひとりさんの演技が悪いわけではなく、
逆に、演技力があるがゆえに、かえって鑑賞者の受けを
悪くしているのかなって感じもします^^;)
2.希和子が秋山丈博に対して抱いていた気持ちと、
秋山丈博という人物像の記述が不十分であること。
3.希和子がエンジェルホームに行くまでの過程が分からない。
4.希和子がエンジェルホームからの逃走を決意して、
実行するまでの葛藤と、
それを手助けした沢田久美の動機や行動が
十分に説明できずにいるため、
希和子が小豆島へ行って、
久美の実家で働けるようになるいきさつが、
鑑賞者に伝わらないこと。
5.小豆島での生活で、薫が男の子の服を着ている理由が、
沢田昌江の口から、一瞬説明されるが、やはり分かりにくい。
6.タキ写真館に希和子が立ち寄った理由
(ドラマでは説明あり)や、
大人になった恵里菜(薫)に、
滝がすんなりと気づけたこと(滝さんは超人です^^;)

まだまだいろいろありますが、1から6などの省略は、
メインの感動のためには、サブ的な効果しかありませんが、
ドラマ版で丁寧に説明されているのを観ると、
ああ、そういうことだったんだ@@!
と感じることが多くありました。
ドラマ版指示の方々が、映画版に対して抱く物足りなさが、
ここらあたりにあるのかもしれませんね。

次回、またさらに映画版を調べてみたいと思いま~す^^。


  


Posted by あいちゃ at 03:04Comments(0)テレビ番組

2016年02月07日

八日目の蝉の比較 1



角田光代さん原作で、ドラマ化と映画化がされている
『八日目の蝉』というサスペンス小説があります。
以前にも紹介しましたが、あたしはこの映画を観て、
なみだズバズバ状態@@。。になっちゃいました。

八日目の蝉は、2010年にNHKでドラマ放送(45分6回)され、
さらに、2011年に松竹配給で映画化(147分)されました。
ドラマ放送では、平均視聴率が7.8%で、
最終回(6話目)の視聴率は9.3%だったそうです。
そして、それを受けて公開された映画は、
第35回日本アカデミー賞で10冠を獲得するなど、
大成功を収めました。

そうなると、当然のごとく、
TV版と映画版が比較されてしまいますが、
どちらも、インパクトの強い素晴らしい作品なので、
ドラマを先に観た人は、ドラマの方が絶対にいいと言い張り、
映画から観た人は、ドラマの方がいいという意見は許せない
と、真っ向対立した議論が、ネット上に書き込まれています。
せっかくのいい作品が、こんなことで
互いに他をけなし合っているのがなんとも残念で、
今回、TV版と映画版を
あたしなりに分析してみたいと思います。

ちなみにあたしは、最初に映画版を観て、
そのあとで、あまりにネットでの書き込みが気になって、
ドラマ版を借りてきて、観た、という経歴(立場)です。


まず、ドラマ版と映画版のデータ比較です。

キャスト             ドラマ      映画
-------------------------------------------------------
野々宮希和子         檀れい     永作博美
秋山恵理菜          北乃きい    井上真央
薫(恵里奈の幼少時)    小林星蘭   渡邉このみ
安藤千草           高橋真唯   小池栄子
秋山恵津子          板谷由夏   森口瑤子

沢田久美           坂井真紀   市川実和子
沢田昌江           吉行和子   風吹ジュン
エンジェル           藤田弓子   余貴美子
サライ             高畑淳子   なし
篠原文治           岸谷五朗   なし
ごみ屋敷女          倍賞美津子  なし
写真屋店主          藤村俊二   田中泯
秋山丈博           津田寛治   田中哲司
岸田孝史           岡田浩暉   劇団ひとり
仁川康枝           京野ことみ  吉本菜穂子


主題歌  ドラマ: 童神〜私の宝物〜   (城南海) 
       映画 : Dear           (中島美嘉)           


次回は映画版からじっくり調べてみたいと思いま~す。
(例のごとく引っ張りますけど、更新はいつになるやら^^;)



  


Posted by あいちゃ at 11:18Comments(0)テレビ番組

2016年01月25日

お久しぶりです



久しぶりの記事投稿となります。
あらら、前回の投稿が9月22日だったので、
まる4か月ぶりなんですね^^;
あっ、別に身体は元気元気でピンピンしているんですよ~。
ただ、予想されていたことなんですが、
『小倉百人一首殺人事件』を書き上げてしまったら、
創作意欲がまるでなくなってしまって^^;
なんかポッカリと穴が開いてしまったみたいで、
だらだらと過ごしていたら、、、
おー、4か月も経っちゃったよ@@!、って感じです。

さてさて、そんな中、
最近ひそかに嵌まっている深夜アニメで、
あっ、正確には、深夜アニメを録画してあとから見る、
ですが (夜起きているのは苦手っす><)
面白そうなのがあったので、紹介しちゃいます^^

その作品のタイトルは、

 『 僕だけがいない街 』 です。
   ⇒ 公式HP


愛知県では、木曜日の26時20分から放送されています。
(つまり、金曜日の2時20分ってことですね。丑三時~><)
ストーリーは、背景は2006年、主人公は29歳の青年ですが、
あるSFチックな特殊能力で、
18年前の1988年にタイムスリップしてしまいます。
でもメインテーマは、SFではなくて、ミステリーです。
10歳の少年に戻った主人公が、
18年前に果たせなかったことを成し遂げるために、
過去の世界で悪戦苦闘します。

舞台は昭和63年の北海道。(いいっすね~^^)
ミステリーで最も美味しいテーマ 「追憶の探求」
少年目線の世界感。
タイムリミット ⇒ Xデー

これまで3話放送されていますが、
どれも、わくわく、ぞくぞく、とてもよくできています。
ぜひ、観てください。超お勧めです^^



  


Posted by あいちゃ at 21:15Comments(0)テレビ番組

2015年09月18日

深夜アニメ、結構当たり年?



以前の記事で、今放送中の深夜時間帯のアニメ、

 のんのんびより リピート

がとても面白いですよと紹介いたしましたが、
他にも、負けずに面白いアニメがありましたよん。

まず、一つ目が、

 乱歩奇談 Game of Laplace

です。
江戸川乱歩の推理小説をベースにして、
最初は小説のリメイクという感じだったんですが、
途中から、明智と怪人20面相との戦いになりますが、
結構、ドロドロって感じで、我慢して見ていると、
だんだんのめり込んでいってしまうという作品です。
(説明が難しいですね^^;)
主人公が小林少年ですが、原作の小林少年よりも
キャラが濃くなっています。
もう一人の主人公、明智は天才青年ですが、
最初はいまいち影が薄いのですが、
徐々に個性的になってきます。

もう一つの紹介したいアニメが、

 六花の勇者

です。
これは、ファンタジーの設定ですが、
メインストーリーはミステリーです。
6人の選ばれし勇者が集結してみたら、
そこには7人の人物がいました。
つまり、誰かが偽者ということなのですが、
その偽者、つまり犯人は誰か? 
といったストーリーです。
それに、ファンタジーでありながら、
密室の謎も用意されていて、
完全に推理を楽しむアニメです。
ただ、見た人のコメントによれば、
賛否両論のアニメみたいでした。
やっぱり、ファンタジーアニメを見る人は
どうしてもアクションに期待をかけているようですね。


  


Posted by あいちゃ at 22:58Comments(0)テレビ番組

2015年08月20日

癒されるアニメ



ここ数年間は、新作のアニメラッシュで、
はっきりいって全部を見るのは無理な時代となっていますね^^;

でも、さすがにこれだけあると、秀作もいっぱいあります。
個人的に、ここ数年間の作品では、

 団地ともお
 夜ノヤッターマン
 マギ
 おおかみこどもの雨と雪

なんかが良かったと思っているんですが、

今週の月曜日に夜更かしをしていたら・・・、
(良い子はしてはいけません><)
へー@@、これってとてもいいかんじ。
というアニメが放送されていました。

アニメ好きの方々には超有名な作品でしょうけど、
あたしは今まで見たことがなかったんですよね^^;、
その作品は、

  のんのんびより りぴーと

です。

田舎に住んでいる女の子4人が繰り出す日常の物語なんですが、
一見、萌え系アニメと思われます。
(萌え系を狙っているのは間違いありませんが^^;)
とにかく、絵がきれいなんですね。吸い込まれてしまいそうです^^

あの普及の最高傑作、蟲師、を彷彿させる田舎の風景の美しさが
この作品のメインテーマです。
もちろん、現代っ子による古き日本文化を懐かしむ、
ほのぼのしくて泣かせるストーリーも盛りだくさんです。

とにかく、感動しまくってしまいました~ @@。。
安心して癒されることができる名作だと、あたしは思っています。

ただいま、放送中ということで、
興味を持たれた方はチェックしてみてください。
放送時間は、のんのんびより公式サイトに掲載されています。
(HPによると、一部で無料動画も配信されているようですが、
ここでのリンクはご遠慮させていただきます)


  


Posted by あいちゃ at 20:41Comments(0)テレビ番組

2015年01月18日

ひょっとしたら……



GYAOの動画を見ていたら、

  『夜ノヤッターマン

というアニメ番組の第1話があったので、
思わず見てしまったら、
これが、思いがけず、とてもすぐれもので、
第2話はないのかな、と思ったら、
なんと、これから放送される番組だということで、
これは、ちょっとここで報告しておかなくちゃと、
記事にすることにしました^^

さて、この 『夜ノヤッターマン』 ですが、
『夜ノ』 の意味は不明です。
深夜放送のアニメだからなのでしょうか?
絵はきれいなタッチで好感が持てます。

ヤッターマンといえば、
言わずと知れた、かつての国民番組ですが、
その背景を用いた2次ストーリーの番組です。
ヤッターマンの登場人物はとても個性的ですけど、
『夜ノヤッターマン』 の登場人物を見て、
最初は、あれれ?、と思うわけですが、
そのうちに、
ああ、こういうシチュエーションなのねと、
登場人物の関係が理解できるのが、
第1話の前半です。

そのあと、話はちょっと意外な方向に進みますが、
そこを越えれば、
こういう風にストーリーが進むだろうと、
実は、先が読めてしまいます^^;

そして、第1話の後半は正にその予想通りに
話が展開していくのですが、
先が読めてしまったわりに、
番組が終わってから、
涙がぼろぼろと止らないのです
(不思議じゃあ><。。

話の持って生き方が上手いというか、
とにかく、すごく印象に残るんです。
この作品はもしかしたら、
すごく感動もんの傑作になるかもしれない。

放送は月曜日の深夜、
読売テレビ系列(愛知県は中京テレビ)です。
みなさん、ぜひチェックしてみてくださいね。


  


Posted by あいちゃ at 20:39Comments(0)テレビ番組